検査値の読み方(尿酸)

血液検査すると色々な検査項目があります。
それをわかりやすく解説していきます。

項目 基準値 高値で疑われる病気
尿酸値 男性 3.6~7.0
女性 2.7~7.0
高尿酸血症

尿酸とは?

身体は60兆個の細胞からできていて、細胞の1つ1つには核酸という成分が入っています。細胞が新陳代謝するときや、エネルギーを使うときに核酸がプリン体という物質に分解されてできます。プリン体は最終的に尿酸になり尿中に排泄されます。 プリン体は食べ物からも体に入ってきます。

尿酸値が上がる原因

  1. 尿酸産生過剰 (食事からのプリン体摂取が多く尿酸が多くつくられる)
  2. 尿酸排泄低下 (腎臓からの尿酸排泄能力が低下)
  3. 混合型 尿酸産生過剰と尿酸排泄低下の両方がある

高尿酸血症(痛風)

「痛風」と言われている病気は、正式には高尿酸血症といいます。
尿酸値が7.0mg/dl以上の人が高尿酸血症と診断されますが、全員が痛風になるわけではありません。
尿酸値が8.0以上の人が治療開始基準になりますが、10.0以上でも痛風発作を発症しない人もいます。
また、尿酸値は年齢と男女によって数値が変化していき、通常は男性の方が高いです。
それは女性ホルモンに腎臓から尿酸を排泄する働きがあるためで、閉経後は女性も数値が上がってきます。そのため男女比は男性が98%ですが閉経後は女性の数値が上がってきます。

痛風の症状

尿酸は血液中に溶け込んでいますが、尿酸値が上昇すると過剰な尿酸が結晶化して関節にたまり炎症がおき激しい痛みの発作が出ます。足の親指の付け根に発症することが多く、くるぶしやかかと、足の甲などの関節が赤く腫れあがります。 痛みは、24時間以内にピークを迎えますが、そのまま放置しても1週間か10日ほどで痛みは消えます。しかし治療しないと、同じような発作がおこり足首やひざの関節まで腫れて結節が出来たり、腎臓が悪くなったり、尿路結石が出来たりします。だから、治療しないのは非常に危険です。

高尿酸血症とメタボリックシンドローム

日本ではメタボリックシンドロームの診断基準が
腹囲(男性85㎝・女性90㎝以上)

a.脂質異常症(中性脂肪150㎎/dl以上 HDLコレステロール40㎎/dl未満)
b.高血圧(収縮期血圧130㎜Hg以上、拡張期血圧85㎜Hg以上)
c.血糖異常(空腹時血糖110㎜Hg以上)

a~cの2項目以上を満たすとき診断されますが、最近は高尿酸血症も密接にかかわっていることがわかってきています。

体重増加(肥満)に伴い尿酸値は上昇し、減量で尿酸値が下がることがわかっています。
中性脂肪が高い「高トリグリリド血症」の人は尿酸値も高くなることがわかっています。
高血圧の方の20~40%の人は尿酸値が高く、痛風の人の約30%の人は血圧が高いです。
血糖値が高くなると尿酸値も高くなります。
このように高尿酸血症はメタボリックシンドロームと関係が深いです。

痛風予防のために

生活習慣の改善が1番です。

  1. プリン体の多い食事を控え、バランスの取れた食事を
  2. アルコールは控えめに
    特にビールは尿酸のもとになるプリン体を多く含みます。プリン体が0%の発泡酒でもアルコール自体の分解の際に尿酸を作り出し、尿中への尿酸の排泄を妨害する働きもあります。
  3. ストレスをため込まない
  4. 運動不足や食べ過ぎによる肥満を改善すること

尿酸値が低い

今までは尿酸値が低くても「大丈夫です」といわれていました。
近年、血清尿酸値が2.0mg/dl以下の場合、尿酸値以外に検査に異常値がないときは、腎性低尿酸血症とキサンチン尿症と診断されていて、ほとんどが腎性低尿酸血症です。
通常は症状がなく、治療は必要ないですが、まれに合併症として運動後急性腎障害と、尿路結石症が出ることがあります。