新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症とは?
過去ヒトで感染が確認されていなかった新種のコロナウイルスが原因と考えられる感染症です。
コロナウイルスとは?
人や動物の間で広く感染症を引き起こすウイルスです。人に感染症を引き起こすものはこれまで6種類が知られています。深刻な呼吸器疾患を引き起こすことがあるのは、SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)で、それ以外は、感染しても通常は風邪などの重度でない症状にとどまります。
どうやって感染するの?
新型コロナウイルス感染症がどのように感染するのかについては、現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。
※主な感染場所:学校や劇場、満員電車などの人が多く集まる場所
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど
(1)飛沫感染

- 感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出
- 別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み感染
※主な感染場所:学校や劇場、満員電車などの人が多く集まる場所
(2)接触感染
- 感染者がくしゃみや咳を手で押さえる
- その手で周りの物に触れて、ウイルスが付く
- 別の人がその物に触ってウイルスが手に付着
- その手で口や鼻を触って粘膜から感染
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど
新型コロナウイルスの生存期間
新型コロナウイルスは、以下の通り一定期間物体の表面に生存します。
※新型ウイルスを含んだ液体を噴霧し、「エアロゾル」と呼ばれる微粒子にした。
空気中※ | 3時間 |
銅の表面 | 4時間 |
ボール紙の表面 | 24時間 |
プラスチックの表面 | 2~3日間 |
ステンレスの表面 | 2~3日間 |
新型コロナウイルスに感染しないようにするために
コロナウイルスに対しては、通常のインフルエンザウイルスと同様の感染予防法が有効だと考えられています。

くしゃみや咳が出るときは、飛沫にウイルスを含んでいるかもしれませんので、次のような咳エチケットを心がけましょう。
(1)手洗い
ドアノブや電車のつり革など様々なものに触れることにより、自分の手にもウイルスが付着している可能性があります。外出先からの帰宅時や調理の前後、食事前などこまめに手を洗います。

石けん液を手に取り、手のひらを擦り合わせて洗います。

手の甲を手のひらで包むようにして洗います。

指の間をよく洗います。

親指をもう片方の手で包み洗います。

指先を反対側の手のひらにこすり洗います。

手首も忘れず洗います。
(2)普段の健康管理
普段から、十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけ、免疫力を高めておきます。
(3)適度な湿度を保つ
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下します。粘膜を護るために湿度を50~60%に保ちます。
(4)消毒用アルコール
手など皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています。
感染予防に有用な製品
北里大学研究所が、市販されている製品の中で新型コロナウイルス不活化検証試験を行い、その効果を
調査・発表しました。詳しくはリンク先をご確認ください。
>>新型コロナウイルスに対する消毒薬の効果を検証(北里研究所)
>>新型コロナウイルスに対する消毒薬の効果を検証(北里研究所)
市販の塩素系漂白剤を薄めて消毒
主成分が次亜塩素酸ナトリウムの家庭用塩素系漂白剤を、使用量の目安に従って濃度0.05%に薄めると次亜塩素酸ナトリウム液がつくれます。
家庭用手袋を着用し、十分に換気をしながら行ってください。他の薬品と混ぜないでください。金属に使用すると腐食する場合があります。
家庭用手袋を着用し、十分に換気をしながら行ってください。他の薬品と混ぜないでください。金属に使用すると腐食する場合があります。
メーカー(50音順) | 商品名 | 作り方の例 |
---|---|---|
花王 | ハイター | 水1リットルに本商品25ml (商品付属のキャップ1杯) |
キッチンハイター | ||
カネヨ石鹸 | カネヨブリーチ | 水1リットルに本商品10ml (商品付属のキャップ2分の1杯) |
カネヨキッチンブリーチ | ||
ミツエイ | ブリーチ | |
キッチンブリーチ |
<咳エチケット>

くしゃみや咳が出るときは、飛沫にウイルスを含んでいるかもしれませんので、次のような咳エチケットを心がけましょう。
- マスクを着用します。
- ティッシュなどで鼻と口を覆います。
- とっさの時は袖や上着の内側でおおいます。
毎日チェックしましょう
新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬の候補に挙がっている主な薬剤
一般名 | 商品名 | 販売製造元 | 薬効分類名 |
---|---|---|---|
レムデシビル | ベクルリー | ギリアド・サイエンシズ株式会社 | 抗ウイルス剤 |
ファビピラビル | アビガン | 富士フイルム富山化学株式会社 | 抗インフルエンザウイルス剤 |
シクレソニド | オルベスコ | 帝人ファーマ株式会社 | 吸入ステロイド喘息治療剤 |
ナファモスタットメシル酸塩 | フサン など | 日医工株式会社 など | 蛋白分解酵素阻害剤 |
カモスタットメシル酸塩 | フオイパン など | 小野薬品工業株式会社 など | 経口蛋白分解酵素阻害剤 |
イベルメクチン | ストロメクトール | MSD株式会社 | 駆虫剤 |
トシリズマブ | アクテムラ | 中外製薬 | リウマチ治療薬 |
感染後の症状と治療法
新型コロナウイルス感染症の症状
SARSと同じく発熱やせき、呼吸困難などの症状が出るが、鼻水、くしゃみ、咽頭炎など上気道の症状
また、一般の風邪であれば発症から3日間程度で症状が軽減していくことが多いが、新型コロナウイルスは発症から7日間程度から症状が悪化する傾向があると報告されています。
また、一般の風邪であれば発症から3日間程度で症状が軽減していくことが多いが、新型コロナウイルスは発症から7日間程度から症状が悪化する傾向があると報告されています。
新型コロナウイルス感染症の治療法
ウイルス性疾患であるため、抗生物質は無効です。
ヒトに対し安全性・有効性の両方が確認されているワクチンは、治療用・予防用どちらも存在しません。
風邪と同様、解熱薬やその他の対症療法によって治療します。
ヒトに対し安全性・有効性の両方が確認されているワクチンは、治療用・予防用どちらも存在しません。
風邪と同様、解熱薬やその他の対症療法によって治療します。
新型コロナウイルスの世界の動向
新型コロナウイルスの治療法に関する世界の動きは以下の通りです。
※2021年1月24日現在の情報です。
- 1月22日、 カナダのモントリオール心臓研究所は、痛風治療薬「コルヒチン」 が新型コロナウイルス感染症治療に効果的で、合併症のリスクを減少させることが臨床試験で明らかになったと発表しました。
【参照元】痛風治療薬「コルヒチン」、コロナ治療に有効か カナダ研究 - BB News - 1月12日、 EUの専門機関である欧州医薬品庁(EMA)は、アストラゼネカが開発した新型コロナウイルス対策のワクチンの条件付き販売承認に向けた申請を受理したと発表しました。
【参照元】アストラゼネカがワクチン承認を申請、1月末には承認の見込み - JETRO - 1月12日、 中外製薬が開発したリウマチ治療薬「アクテムラ」について、英政府が新型コロナウイルス治療への有効性を発表しました。
【参照元】中外製薬株は買い気配、リウマチ薬「アクテムラ」がコロナ治療に有効 - msnニュース - 2021年1月6日、 欧州委員会はモデルナが開発した新型コロナウイルスワクチンの条件付き販売を承認したと発表しました。EUとしては2件目の承認となります。
【参照元】欧州委、EUで2件目となる新型コロナワクチン承認 - JETRO - 12月21日、 欧州委員会はビオンテックとファイザーが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの条件付き販売承認をしたと発表しました。
【参照元】欧州委、EU初の新型コロナワクチンを承認 - JETRO - 10月24日、 アストラゼネカは英オックスフォード大学と開発する新型コロナウイルスのワクチンについて、全世界で臨床試験(治験)を再開したと発表しました。副反応の疑いで中断していましたが、米食品医薬品局(FDA)が安全性に問題は無いとして許可を出しました。
【参照元】アストラゼネカ、ワクチン治験を世界で再開 新型コロナ - 日本経済新聞 - 10月22日、 米食品医薬品局(FDA)は、米ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬ベクルリー(レムデシビル)を新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認しました。米国で承認された初のコロナ治療薬となります。
【参照元】FDAよりCOVID-19治療薬ベクルリーRの承認取得 - ギリアド・サイエンシズ - 10月16日、 新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、富士フイルム富山化学は、国に製造販売の承認を申請したと発表しました。11月にも承認される見込みです。
【参照元】抗インフルエンザウイルス薬「アビガンR錠」の製造販売承認事項一部変更承認申請 - 富士フイルム - 9月23日、 富士フイルム、子会社の富士フイルム富山化学が、新型コロナウイルス治療薬候補「アビガン」の国内臨床第III相試験において、主要評価項目を達成したと発表しました。
【参照元】抗インフルエンザウイルス薬「アビガンR錠」新型コロナウイルス感染症患者を対象とした国内臨床第Ⅲ相試験にて主要評価項目を達成 - 富士フイルム - 9月8日、英製薬大手アストラゼネカが英オックスフォード大と共同開発している新型コロナウイルスのワクチンを巡り、深刻な副作用が疑われる事例が発生し、米国での治験が中断していると報じられました。
【参照元】英アストラゼネカ、ワクチン最終治験一時中断 米報道 - 日本経済新聞 - 9月2日、世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者に対して、コルチコステロイド投与を推奨する新たなガイドラインを発表しました。
【参照元】WHOが重症新型コロナへのステロイドを推奨 - 日経メディカル - 8月25日、英製薬大手アストラゼネカは、新型コロナウイルスの予防・治療薬である抗体医薬の初期臨床試験(治験)を始めたと発表しました。特定の細胞に作用する抗体によってウイルスを抑える効果が期待され、安全性や有用性を調べます。
【参照元】英アストラゼネカ 新型コロナの抗体医薬、治験開始 - 日本経済新聞 - 7月29日、新型コロナウイルスの治療薬候補である中外製薬の関節リウマチ治療薬「アクテムラ」について、親会社のスイス製薬大手ロシュは治験の結果、死亡率が低下するなどの明確な有効性は確認できなかったと発表しました。同社は、アクテムラと新型コロナ治療薬のレムデシビルを併用した治験なども進めています。
【参照元】COVID-19関連肺炎による重症入院患者を対象としたアクテムラの 第III相COVACTA試験の最新情報について - 中外製薬 - 7月22日、厚生労働省はステロイド薬「デキサメタゾン」を新型コロナウイルス感染症の診察の手引きに掲載しました。5月7日に特例承認された「レムデシベル」に次いで日本国内では2例目となります。
【参照元】「デキサメタゾン」を新型コロナ治療薬に推奨へ 厚労省 - NHK - 7月13日、アメリカの製薬大手ファイザーは、ドイツのメーカーと共同開発中の新型コロナウイルスのワクチンが、FDA(=アメリカ食品医薬品局)の優先審査の対象に指定されたと発表しました。
【参照元】米ファイザーの新型コロナワクチン、FDAが優先審査 - 日本経済新聞 - 7月6日、新型インフルエンザ治療薬「アビガン」と膵炎(すいえん)治療薬「フサン」の併用が新型コロナウイルス重症患者に有効である可能性を確認したと東京大の研究チームが発表しました。
【参照元】新型コロナ 「フサン」と「アビガン」併用投与で症状改善 東大 - NHK - 7月3日、理化学研究所(理研)は、スーパーコンピュータ「富岳」を活用し、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補となりうる数十種類の物質を発見したと発表しました。
【参照元】コロナ薬候補を数十種類 スパコン「富岳」で京大発見 - 日本経済新聞 - 6月23日、米ギリアド・サイエンシズは、新型コロナウイルス感染症の治療薬レムデシビルの吸入タイプについて臨床試験を開始する計画を発表しました。
【参照元】新型コロナ薬で「吸入タイプ」 米ギリアドが治験開始 - 日本経済新聞 - 6月17日、大阪の吉村知事は開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、6月30日に人への投与・治験を始めると発表しました。
【参照元】「10月に400人規模治験」 阪大発ワクチンで吉村知事 - 日本経済新聞 - 6月4日、英国の国立衛生研究所(NIHR)などの機関が共同で、重篤な新型コロナウイルス感染症患者が発症する呼吸不全の緩和を目指し、治験で市販のかぜ薬の成分であるイブプロフェンの特殊製剤を投与することが分かりました。
【参照元】英、コロナ治験で「イブプロフェン」投与へ 呼吸不全の緩和期待 - ロイター - 5月21日、英製薬大手アストラゼネカは、英オックスフォード大と開発を進める新型コロナウイルスのワクチンの供給を9月から始めると発表しました。
【参照元】英アストラゼネカ、ワクチン9月に供給へ 10億回分生産 - 日本経済新聞 - 5月13日、製薬大手の武田薬品工業は、開発中の新型コロナウイルスの治療薬について、今年7月から国内で臨床試験を始め、年内にも国の承認申請を行うことを明らかにしました。
【参照元】武田薬品工業 開発中のコロナ治療薬 7月から臨床試験開始へ - NHK - 5月12日、国内で初めての新型コロナウイルス感染症の治療薬として特例承認された、抗ウイルス薬「レムデシビル」の医療機関への供給が始まりました。
【参照元】新型コロナ治療薬「レムデシビル」 医療機関に配送開始 厚労相 - NHK - 5月11日、唾液を検体に使って新型コロナウイルスの感染を調べるPCR検査法を厚生労働省が早ければ5月中に認める方針であることが分かりました。
【参照元】唾液でPCR検査、5月にも可能 採取簡単、実施件数増加も - 東京新聞 - 5月11日の衆院予算委員会で安倍晋三首相は、新型コロナウイルス感染を予防するワクチンの国内での開発に関して、「早ければ7月には治験が開始できる見込み」と表明しました。
【参照元】コロナワクチン、7月にも治験 首相が表明 - 東京新聞 - 5月10日 新型コロナウイルスに感染しているかどうかを短時間で調べられる「抗原検査」について、厚生労働省は確定診断に使う方針を固めました。13日にも、検査キットが薬事承認される見通しです。
【参照元】抗原検査、13日にも承認へ PCRと併用で検査数増加 - 朝日新聞 - 5月8日、塩野義製薬は開発中の新型コロナウイルスの予防ワクチンについて、2021年秋にも発売することを目指すと明らかにしました。
【参照元】塩野義、21年秋にもワクチン発売へ 新型コロナ - 時事通信社 - 5月7日、「レムデシビル」が新型コロナウイルス感染症の日本国内初の治療薬として承認されました。
【参照元】レムデシビルを承認 国内初の新型コロナ治療薬 - 日本経済新聞 - 海外の研究で抗寄生虫薬「イベルメクチン」に新型コロナウイルスを抑える効果が報告され、5月6日に日本の北里大が治療薬の承認を目指す治験を開始すると発表しました。
【参照元】北里大、イベルメクチン治験へ コロナ治療薬に期待 ノーベル賞大村氏が開発 - 毎日新聞 - 英製薬会社グラクソ・スミスクラインは、5月下旬から新型コロナウイルスによる肺炎の患者を対象に、関節リウマチ薬を投与する治験を始めると発表しました。
【参照元】グラクソ、今月下旬からリウマチ薬で治験 新型コロナ治療 - ロイター - 3月31日、富士フイルムは国内で新型コロナウイルス感染症を対象とした「アビガン」(ファビピラビル)の治験を開始しました。
【参照元】富士フイルム、新型コロナに「アビガン」国内治験開始 - 日本経済新聞
※その他に新型コロナウイルスに対する抗ウイルス薬の候補として国内外で臨床試験・臨床研究が行われているのは、【ロピナビル/リトナビル】【ヒドロキシクロロキン】【シクレソニド】【ナファモスタット】などです。
※2021年1月24日現在の情報です。